爆裂(上、後)/鈴木
 
じゃないか。
 思わず口を挟む。
 ――じゃあ、ぼくを殺さないといけなかったんじゃないの?
 雄獅子は三メートルほど離れた日なたに祥平へ右脇を向けて座った。すぐに襲い掛かれそうな位置ではない。
 ――そうだな。
タテガミを後ろに撫で付け遠い目をしている。
 ――王だし。
 ――マジで? やばくない?
 ――やばいよ。裏切りだ。ただじゃ済まないだろう。
 風が吹けばいいと思った。池の対岸だった場所に、半ば白骨化した幼児の骸があった。あれは貴史ではないだろうか。また馬鹿を言って勝也に蹴られたのだろう。死ぬまで。
 ――お前はあそこの人間とは違う。里の住人だよ。目を見ればわかる。

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