爆裂(上、後)/鈴木
 
であることが大きかった。具されたバッタやコオロギなどが崩れていく様に興奮でき、また、数に余分が生じた場合やシーズン末に限るが共食いは激烈な官能をもたらすらしい。皆、大将に従って、去った。涼斗だけが心配そうな顔で幾度か振り返った。残された祥平は歓声が遠ざかっていくと共に肘の痛みに気づく。擦って白くなった箇所から血がぷつぷつと沸く。彼は安堵した。ほどなくして吐いた。それは取り入れたものを一括して放り出す痛快な嘔吐ではなく、己の骨や肉や内臓から脳に皮膚まで丸ごと内部で攪拌して出来た溶岩の間歇的な噴出であり、数十秒の後に枯渇すると発射口たる唇のぱくぱく開閉するばかりとなってカマキリの
 ――拒否する!
[次のページ]
戻る   Point(0)