爆裂(上、前)/鈴木
手伝ってか、高校の授業や遊びのない暇なときはよく構ってくれていた。薄い桃色のつややかな唇が笑みを作り次に開く。
――おばあちゃんから野菜がたくさん届いて、少しおすそ分けに来たんだけど、誰も出ないからドアの脇に置いてきちゃったよ。
――ありがとうございます。
――あれ、嬉しそうじゃないね。もしかして野菜嫌い?
祥平は口ごもった。陽子が近づけてくる顔は笑っていて、細まった二重目蓋の中に己を見つけ胸を疼痛がよぎった。震える。
――好きなの?
続いて頬を挟んだ掌が彼の芯を再び燃え上がらせた。うなずく。
――よかった! 野菜はちゃんと食べなきゃ駄目だよ。じゃあね。
去り行く姿
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