爆裂(上、前)/鈴木
 
大気中の動物磁気を集積し悪を打ち破る爆発的なパワーの源となるのだ!
 ――我こそはハイパーライト戦隊の祥平だ! かかってこい!
 正道から逸れたクズらを光の徒手空拳で成敗した頃には雪も止み遠く西の空に雲の端から覗く夕日が眩しかった。ただ立つのみの楓も赤くなっていて一枚の大きな紅葉のようだった。照れを覚えた祥平は、口を真一文字に結んで背筋を張り、敬礼を決めた。
 腹が減った。
 C棟の麓まで帰り着くと、若い女性が降りてきた。
 ――あ、祥平くん。
 ――陽子おねえちゃん。
 この冬からA棟に住む結城家の長女で、母同士が学生時代から昵懇の仲であり、妹の茜と祥平が同い年でよく遊ぶことも手伝
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