爆裂(上、前)/鈴木
の日はここも白かった。乱れた息で唸る、そのかすれ声は楓へと向けられていた。木は枝に雪を被ってはいるが全体的に褐色のまま、周囲へ溶け込まず、自己を主張することもなく、立っていた。
両掌でふれた。乾いた、いつもの感触だった。呼吸の落ち着く一方で火照りは増していた。目蓋を閉じて、静かに幹へ額を当てた。彼は麻痺に沈んだ。
いつのまにか悪鬼羅刹に取り巻かれていた! いやらしい眼差しで舌なめずりする彼らの手にはノコギリが握られている! 楓が危ない! 祥平はいきりたった! 半身になり腰を落とし両の拳を握り締めて胸元に構えた! 自らの考案による格闘術『スーパーウルトラ』の構えである! 力んだ腕の振動が大気
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