爆裂(上、前)/鈴木
いつのまにか背後の壁は消失し狐や狼に鷹や虎といった肉食動物たちが並んで祥平を見ていた。『モモ』の表紙に描かれたカシオペイアを想起させた。はるか奥のとある域は獅子の群れに独占されており、大勢の雌が好奇の目を向けてくる中で一頭我関せずといった面持ちの雄が鎮座する。ブザーが鳴る。乱暴な力で首を正面へ向けさせられる。次々沸く遠吠えに応えるごとく目の前の壁が崩れ、舞台の上でタキシード姿の中年男がシルクハットを胸に辞儀した。
――ありがとうございます、ありがとうございます! ようこそ『動物大騒擾』へ! わたくしは司会進行役の「ぬ」と申します以後よろしく! 今宵も珍技三昧の満漢全席、花咲き乱れまして婀娜な様
[次のページ]
戻る 編 削 Point(0)