爆裂(上、前)/鈴木
がねえ、うまく見渡せっからさあ。
右目がなかった。
――残念だったなテッチャン。もう少し早く来ることだ。今日みたく一見に取られてしまうことも考えないと。
――ああ、この子のことかね。今のわたしにゃ見えないけれども、こうすりゃ。
体を傾けて首を回す。息が生臭い。喉元だけ三日月のように毛が白い。祥平が頭を下げるとくしゃくしゃな笑みを作って熊はまくし立てた。
――どうも。テツでぇす。冬眠から覚めたばっかで腹が減ってさあ、さっきまで狩りをしていたのよ。かなり食べたとは思うんだが、それでも手にかけちゃったらごめんねえ。なんたって人間がいっちばんうまいんだからなあ。
爆笑が起きた。いつ
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