爆裂(上、前)/鈴木
と尋ねた。茜は答えなかったが、赤くなっていった。祥平は頬に滴が落ちるのを感じた。楓には小さいけれどもつぼみが見受けられた。B棟に存在する地下への階段からマンションの管理人が出てきて
――こんにちは。
と言い、
――こんにちは!
二人の挨拶を見て瘤取り爺みたいな顔に満足をたたえた。彼が姿を消すのを目で追っていた茜は力を込めてB棟へ歩き出した。B棟の軒下で振り返ると宙は雨水の引く糸に細分されていた。地下階段は他と同じくU字に折れているが、照明がないため底に届く光はわずかだった。鉄の引き戸にはかんぬきがあり、棒に南京錠がかけられているので自由に解くことができない。唇を奪われた。しなだれて
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