爆裂(上、前)/鈴木
 
て陽子と化す、そんなときは、へその下へ広がる鈍痛に自己がなだれていくのを抑えることができない。下着とズボンを履いて洗面所へ行くと茜が鏡越しに得意げな顔で水を吐き
 ――きれい?
 と言った。疑いなかった。
 ――モモよりも?
 なるほどな、と思った。
 ――だれよりも?
 背徳の喜びを教えたのは彼女ではなかったか。三度目の首肯が終わらないうちに抱きつかれた。祥平がソファを背に投げ出した足を枕に茜は寝そべる。彼は語る。
 ――薄くて黒い紐が、お花になった後、泣きながら壊れて、甘い。砂になって、渦巻き。ふぁーっていっぱいで、ここにも、あそこにも、あるよ。鳩になったり石鹸になったり、よくわ
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