爆裂(上、前)/鈴木
だろう。うつぶせに寝そべり傍らに本を開いたまま彼は先まで見えなかった太陽を窓の上枠際に確認して
――寝すぎ。
と言った。機嫌が悪かった。作り置きの鮭おにぎりとポテトサラダを食べてから茜はずっとソファで眠っていたのだ。いつも読書する特等席だった。彼らの大きさなら共に収まることもできたが、寝相の悪い人間に度々集中を乱されるのは忍びがたかった。足音が近づく。乗っかられ、
――なにしてんの?
耳元でささやかれた。息苦しくて答えられないでいると同じ文句を叫びながら背の上で跳ねたものだから、祥平は意識が薄らぐのを感じつつ断続的に嗚咽を漏らした。解放されたと思えば顎をぐいと引っ張られ、猫じみた瞳
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