映画日記、ただし日付はてきとう2/渡邉建志
 
の下を、最初は長三和音が支えているが次第にショスタコーヴィチ的展開になりはじめ、和声が狂い、その瞬間ごとに映像が変わり、ピアノがフォルテになると映像もフォルテになり、ピアノが静かにまた長三和音の世界に戻ると映像もまたそれに付随して追いかけてくる。すごかった、ピアノの狂い方がまったくすごかった。生々しかった、ミスタッチまでもが。そして、物語自体はたわいもないのに、映像だけで見飽きない。というかおなかいっぱいになってしまう、その物語を忘れさせる恍惚、これが映画を見るときの一番の快楽だと思う。だからハリウッドは嫌いなんだあたしは。物語なんてどうでもいい、イきそうになる瞬間がいくつかあれば、宝石のようにあ
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