斜路/木屋 亞万
 
馬鹿は調子に乗ってその花を踏みつけた
あの子は彼岸花を何も知らないんだねぇとおばあさんは呟いた

その夜、僕は夢を見た
たくさんの彼岸花に埋め尽くされた花坂斜路
いつもなら季節的にまだ花をつけてない木々や
植木鉢、花壇があるところまで赤い花
踏みつけられた彼岸花の死骸を取り囲むように集まっていた
踏まれてひしゃげた彼岸花だけが白い

不意にその下から恐竜が現れた
光を蓄えたように白い骨の姿だった
ティラノサウルスの骨だと思う
周りを橙や朱に近い赤色の炎がいくつも飛んでいた
火の玉というやつだと思う
骨のように白く光っている狐に連れられて
例の馬鹿がやってきた
馬鹿
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