感覚器倒錯的迷走期/木屋 亞万
 
覚の悪戯
秋物のコートを着た大人しそうな女性に「全裸」が袈裟懸けされている

妙に興奮してきた、審美部署まで喜んでこの企画に乗っかり
「丸裸」をサングラスのようにかけている女子大生
「うなじ」の巻きついたタバコを吸うおっさんを見つけた
散歩する犬の背中には「白い象」が垂れ下がっていた
景色の中を漢字になった金木犀の匂いが漂う
金木犀に浸(水、いや浸)字した街、脳内は(そもそも議題がない)会議そっちのけで盛り上がる
真面目部署は妙な罪悪感と背徳感に駆られながら、少し快感を覚えた



夜、左脳の文字暴走は終焉し
排泄部署が台頭し始めた、電柱よりも多く便器が街に乱立した

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