黄色の憧憬−デッサン/前田ふむふむ
 
焼けが響く。
時とともに、わずかに顔をあげて、希望を噛む線は、黄色い自我を、
白紙のカンバスのなかにすすめる。
鼓動した俯瞰図の水脈は、水底から生まれるのだろうか。
病院の待合室では、一枚の絵画が掛けてある。
題名「手作りの・・・暖炉のような家族」の貼り紙に囲まれて、
絵の中央には、鏡に映っている、黄色い茎の線が切りたつ、
孤独なコスモスの花が、わたしを、じっと見ている。

    3

母は、黄色い木片でできた、
父との積み木のような島の生活の話を、しばしばする、
強い波は、母を内側から、荒々しく削っていったが、
白い肉体のボートを、羽根のなかに、大切に仕舞いこんで、
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