黄色の憧憬−デッサン/前田ふむふむ
 
な病人の列は、
錐のような螺旋階段を昇っていく。
わたしは、階段を昇れば昇るほど、口は、砂地の渇きにのめりこみ、
黄色い受付券は、泥のみずたまりに沈んでいった。
――孤独な街灯は消えかけている。雨はもう見えない。

薄ら笑いを浮かべる病人の前を、みずが滾々と湧きあげている。
灰色の空に映る葬祭場の煙のように。
掴めない救済の霧のように。
一すじの黄色の透明な列が、痛みを伴い、わたしの眼球を、何度も走る。
――手足は卵のような滑らかな治癒を渇望する。
どこまでも続く歩みは、
決して見えることがない診察室から漂うエタノール液に顔をひたす。
――偽造された、あるいは法悦の朝焼け
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