世間の捉え方/岡部淳太郎
 
らこそ大人は尊敬されるのです。それに対して、世間はいつも無節操に開きっぱなしでいます。この開きっぱなしというのは、誰でも入りこんでしまえるし、誰でも飲みこまれてしまえるということであります。それこそ原理的には大人も子供も、勉強家も怠け者も、誰でも世間の中に入りこんでしまうことが出来るのです。
 これが世間の恐いところです。社会はいちおう社会人としての資格を満たした者だけが入れる場所ですから、わりと全体の統御が成されやすく整然としています。ところが、世間は誰でも入れる無節操なほどに開かれた場所であります。それだけに水が低いところへ流れるように、世間の価値観は俗なものになりやすいのです。私の勝手な見
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