世間の捉え方/岡部淳太郎
たとしても、それは反論などという大それたものではありえません。なぜなら、世間はすべてを平均化する同調の空気によって成り立っていて、世間が反発するものはすなわちその空気を乱すものなのです。ということは、それは反論ではなく単なる反応に近いと言った方が正しいのです。ちゃんとした反論というものは能力がなければ出来ませんし、また、覚悟がなければ出来ないものです。それらがなければ、それは単なる反応に過ぎず、論としての力を持たないのです。能力を伸ばすことはある程度世間から離れなければ出来るものではないですし、世間の中に染まり切っていては覚悟など育ちようもありません。だから、世間の側からの反発は反応に過ぎないので
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