世間の捉え方/岡部淳太郎
ので、自らの脚で立っている個人にとっては取るに足りないものなのです。また、世間の中に浸かりきっているとすべてを世間の価値観に沿わせて考えるので、見えるものも見えなくなってきます。頭を冷やしてよく考えれば正しいと思えるようなことでも、世間の中にいては間違ったことのように思えてしまいます。そのようにして人の判断を狂わせる力を世間は持っており、だからこそ気をつけて、世間の本質をしっかりと捉えることが必要になってくるのです。
世間を捉えるというのは、世間を理解し、また自分自身を理解することでもあります。その捉え方いかんによって、個人の成長は決まってきます。自らを鍛え成長させようとする者にとって、世間は害悪しかもたらしません。人は世間よりも社会に、あるいはもっと大きな世界に奉仕すべきでしょう。せせこましい世間はもっとも近い場所にあるがゆえに目障りなものですが、そこを越えてからでないと、人としての本当の成長は望めないのではないでしょうか?
(二〇〇八年九〜十月)
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