世間の捉え方/岡部淳太郎
かいないのに対して、世間の方は自分たちと同じ世間に飲みこまれた人々や世間が作り出す空気を背後に従えています。もともとが多勢に無勢であり、きわめてアンフェアなのです。世間の代表者はたとえ見かけ上は個人と一対一で話していても、常に自らと同じ世間に所属する人々と世間そのものを後ろ盾にしているのです。そんな世間の代表者が個人を糾弾するとしたら、その方がよほど排他的であり閉鎖的であるでしょう。だから、個人は世間の代表者の言うことにはよくよく警戒してかからねばなりません。その世間人は、彼を自らと同じ俗世間に落としこもうと、虎視眈々と狙っている刺客であるかもしれないのです。
それにしても、俗世間とはよく言っ
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