風を見ると懐かしい/木屋 亞万
 

きっと、
絶対に、
出会います
あの山の麓の
あの広場だったのです
そして
もうすぐ秋なのです





















{引用=嘘です
私は嘘をつきました
私は彼女と触れ合えません
想像力を駆使して
彼女と触れ合う可能性を持った自分を
懸命に作り出しては喜んでいるだけなのです
私が風としての機能を停止し
風の命を放棄したとき
私は一人の詩人の呼吸のなかに紛れ込みました

彼女は今、自分の創作物のようにこの詩を書いていますが
違うのです
これは死んだ風の最期の夢なのです
死の瞬間、私はもう風では
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