風を見ると懐かしい/木屋 亞万
 
間の苦しみがあることに
気付きました
どこからどこまでが自分なのか
皮膚があろうとなかろうと
どうにもわからないものなのだと知り
自分の物質的な外観さえ
客観的に見ることは難しいことを知ったのです

彼女と触れ合える身体になるということは
人間と触れ合える身体であるということで
人間には様々な人がいますので
私のまだ柔らかい中身が
傷ついたり折れたりで最初は大変でした
皮膚を手に入れるということは
心地よい肌触りもあれば
傷つく痛みもあるもので
人間から感じるものもあれば
そうでないときもありましたが
そのうち楽しみと悲しみを
惜しみなく感じられるようになりま
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