意識が飛ぶということはつまりそれだけの/木屋 亞万
携帯にはあらかじめ123人のアドレスが入っていた
携帯を持っている人類全員の連絡先だった
あ行のアイカワナオさんに電話してみたが
呼び出し音すらならなかった
ため息をつきその場にしゃがみこむと
空を覆い尽くさんばかりの月が目に飛び込んできた
空の青い部分は端っこにちょろりと見えただけだった
コンビニに引き返しピストルも買った(今度は左ほほパンチ)
「殺さぬピストル」という商品名らしい
ゴリラ顔の男を撃つと幸福そうな表情のまま動かなくなった(全裸で)
銃創から吹き出した血は一瞬で凍った
薔薇のようだった
(極寒では小便が一瞬で凍るアレと同じ原理だと思われる)
ゴ
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