意識が飛ぶということはつまりそれだけの/木屋 亞万
が蹴り飛ばしグーパンチで殴り続けながら
「ごめんなさい」を連呼していた
男は鼻血を垂らしあざを作りながら、「もういい」と答えた(全裸で)
女は手を止め猫のように目を垂らし「さようならば」と去っていった
殴ったほうも殴られたほうも恍惚とした表情で
暴力の快感に浸りながら離れていった
丘の上に屋根のない青空コンビニがあった
雑誌はぐしゃぐしゃに濡れ、乾いたものは波打っていた
そのうねり具合を見て興奮している思春期のヒト科(全裸)の雄がいた
私はそこでビニール袋に入った携帯電話を買った
契約書もお金も要らなかった
(全裸の)店員が差し出す右ほほを思い切り殴れば譲ってもらえた
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