転がるひと/恋月 ぴの
 
店を訪れた
ひとりだけのときもあったし
女王様きどりで下僕の男たちを従えて
下品な猥談にも怯まず大胆に長く白い足を組替える

去年の大晦日
恒例の年越しパーティが引けたあと
いずみ、まーちゃん、ちーママ
そしておいらの四人で初詣に出かけた
キキとまーちゃん
古くからの知り合いのようで
それでいて微妙な距離感を保っているのに気付く
肩が当ったとしても遠慮する訳でも無く
たとえばそれは
長年連れ添った夫婦の厚かましさにも似て
四人は花園神社の人波にもまれながら
やっとのことでお参りをすませた

「いや〜ん、大凶だってぇ」

まーちゃんがおみくじを手に大声で叫び
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