言葉と責任−「存在の彼方へ」を読んでみる4/もぐもぐ
 
の中である現実においては、何ら顧慮されるところのものではない。レヴィナスはそれを自覚している。だが、しかし、いやだからこそ逆に、そうして無視されてしまう心理的な「責任」にも、レヴィナスは正当な位置を与え返してやろうとするのである。

「責任を回避することの道徳的不可能性は、現実の現実性によって黙殺される逡巡のうちにしか宿ることがない。だからといって、この道徳的不可能性の重々しさが軽減されるわけではない。・・・そうではなく、責任を回避することの道徳的不可能性の重々しさは、『存在するとは別の仕方で』の重々しさ」(p30)なのである。現実の「戦い」や「利害」とは「別の仕方」、「別のあり方」である「道
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