俺の満員電車/日雇いくん◆hiyatQ6h0c
「いってー」
電車はそんな俺に目もくれないように、淡々と次駅へ走り去っていった。
「ああ、助かった……」
体は痛かったが、俺の心は安堵感でいっぱいになった。
安堵感のあまりしばらく放心していると、突如声が聞こえた。
「だ、大丈夫ですか?」
なんと、さっきの女性客だった。
よく見ると、いかにも真面目そうな、ボランティアでもやっていそうな感じの、固い身持ちっぽい女だった。
「え、あ……」
俺はとっさの事で、何も言葉が出てこない。
「大丈夫ですか!」
言いながら、女が心配顔で近づいてきた。
やめてくれ!
叫びたかったが、とっさの事で声が出ない。
もうダ
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