ルネッサンス/aidanico
 
止まるとき、
黄金色のおほきなる背鰭あわはれ、
ない手を出して海に還る。

てんこくに踏み入れるには
尾が少し長すぎて。
あはれ体は雲を切り、
深き地中の中に潜る。

況やひとではないものを!
 

孵る

わたしはわたしという構造を愚かなまでに愛する人間なのです。
チシアンの描いた絵をわたしはみたことがない、のであるが、
明日わたしは見る、その青い絵を、夢の中に。目覚めたとき隣
にはあなたでもわたしでもなく彼がいて、太い唸るような声で
わたしを怒鳴るように諭すであろう。激昂のなかにわたしは見
失ってばらばらになって唄の文句のように「もう帰らない」と
言っ
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