ルネッサンス/aidanico
 
言ったあなたを見出すであろう昨日も一年前も生まれる前も。
世界は素晴らしいと言ったいつかのあなたの声はもう寒さです
っかり掠れてしまっているのですか。という出だしで手紙をか
くでしょう、あなたに。一本の百合はほかでもないわたしに向
けられたものだったのです。彼はそれをひとつの啓示であると
いいましたがわたしはそれをひとつの侮蔑だと非難だと中傷だ
と受け止めたのです。そこから彼とわたしと誰でもないある存
在との不均衡がはじまったとともにそれは終わりであったので
す。そしてわたしたちがまっさらになって母なる海へ還らんと
するときあなたたちが一斉に現れて今まさに生を受けた歓びを
あら
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