ルネッサンス/aidanico
 
い胸を強く打った/燃え上がった情熱は凍った海に投げ出されて/波打ち際へと打ち上げられた/私の纏った襤褸は/まさしくジプシーたる私自身に相応しかった/私の盗んだ真っ赤な狂騒のあの晩の風景は/幻想の中へと葬られる/

いつかの男は/海岸で蹲る私に言う/賑やかなファランドールが流れるなかで/
「つめたい冬が凍て付く海を解かし/穏やかな春が来ても/
“あなたは其処にある”(be there)」と!


螺鈿紫檀の五弦琵琶

鹿が霞ヶ浦で涙、
鬼は玄孫と七並べ
蟹が伊勢に店出すと、
繁盛したよと鰻売り
“手前の名前なんてとうの昔に忘れんした”
八墓村で女房の
首を桜の木の下に、
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