八百屋と骨/パラソル
 
海岸に人骨が流れついた
それは標本だった
たまたま海岸を散歩していた八百屋が
それを拾いあげた


八百屋は考えた。
「これを、店にかざろう」
八百屋は、軒先に人骨を置いた。


その日から、その八百屋には
客がパッタリと来なくなった。



ある日、八百屋は発狂していた。
「店に客がこない。店に客がこない。みせに
 客がこない、店にきゃくが来ない。店に客
 がこない、みせにきゃくが来ない。店にきゃ
 くがこない、みせに客がこない。店に客が
 こない、店に」
ずっと人骨に向かって話しかけていた。



そこへ、ガス屋が集金に来た。
ガス屋は
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