砂漠の砂に注ぐ水/皆月 零胤
 

広い、この街で

高く、建ち並ぶビルは
夜は信じられないほど綺麗だけど
遠く、手に届かないところにある

空に浮かんだ月は
あなたと同じ
あと何時間もしないうち、きっと
いなくなってしまう

何もかもが
遠く感じる孤独さえ
まるでなかったかのように
あなたに微笑みながら
とりあえず、こう聞いてみるんだ
明日も晴れるかな?
って

でも
本当に言いたかった言葉は、きっと
あなたから一番遠いところにある


    *


ただ
明日も、同じように逢いたい


    *


砂漠の砂に注いだ水は
流れることなく
乾いてしまう
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