砂漠の砂に注ぐ水/皆月 零胤
 
まう

ただ、時間ばかりが
流れる
まるで水のように


    *
  (デッサン)

あなたの姿は
結局、
この枠の中から
はみ出してしまい
描ききれない

その色さえも
掴みきれない


    *
  (夕立のように)

通り過ぎてゆくと
わかっていた

あなたは
特別でした

でも
それは
このまま
秘密にしておこう

あなたが
特別でなくなってしまわぬように


    *
  (陽炎のように)

ふとしたときに
あの人を
思い出してしまうのは

何故だろう?


    *


忘れたい
忘れない
忘れよう
忘れられない

今は、まだ
忘れられない

あの人. . .
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