雨にさらされる光のない世界だけが/ホロウ・シカエルボク
俺は、そうだ、いつもそんな匂いを嗅いでいたんだ、雨の音、雨の音、雨の音、雨の音―それがどんな心理でも、少なくともその音符がある間だけは…不協和音に塗りたくられたリストがそこにある間だけは恐れないでよかった、不確かさについて首筋を固くしなくてもよかった、それがどんな種類のものであれ―あの時俺は確かにきちんとしたものの中にいたのだ、ねえ、浄化される、浄化されてしまうよ、雨土に汚れながら、不協和音の溢れる時間の中で、俺は終局を張り付けられて誰も目に止めることのない側溝の中へ歪んだ身を横たえてしまう…砂交じりの血を吐き出す、砂交じりの血を吐き出す、汚れた…汚れた息のある骸…信じたんだ、信じたんだ、信じたん
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