雨にさらされる光のない世界だけが/ホロウ・シカエルボク
 
たんだ、それがどんなものであれ、それがどんな醜悪な固形物であれ…触れるもの以外に信じることなんて本当は誰にも出来なかったはずじゃないか、器用じゃない、器用じゃない、いつだって器用であったことなんかなかった、隙間に身を潜めていびつな呼吸音を聞いていた、聞いていた、聞いていた、聞いていた、聞いていたんだ
雨が止む気配が、怖くて怖くて仕方がなくって、川べりで拾った小石を耳の奥へ詰め込んだんだ、いくつも、いくつも、いくつもいくつも…カーテンを引いて、しっかりと隙間を合わせて…世界なんて本当はないんだって信じ込もうとした、本当に信じられるならそれは嘘でもよかった、真実なんて、真実が必要かどうかなんてそんな
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