雨にさらされる光のない世界だけが/ホロウ・シカエルボク
 
れ続ける安っぽい路地の石畳の上に…濡れていくものたちが温度を奪って…俺はコンビニエンスストアで買ったビニールの傘をさしていた、安っぽい…なのに痛い出費だった、光がなかった、全く光がなかった…全く光がない雨に濡れ続ける路地の上で、俺は自分の存在の中身が轍に流れ込んでいくさまを見ていた、涙を流せないものたちはそうして雨土に汚れながら浄化してゆくのだ、俺は涙を流せない存在だった、ああそうだ、雨に濡れ続ける安っぽい路地の上には確かにそうした申し送りがあった、何度そうして送られただろう、何度そうして俺は送られてきたんだろう?雨だった、雨だった、雨だった、いつもいつも…血縁のようにそれは確かに濡れていた、俺は
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