雨にさらされる光のない世界だけが/ホロウ・シカエルボク
 
濡れる路面、雨に濡れる路面、ああ、確かだ、確かなものなのに…記憶だけがそれを裏付けることができないまま砂交じりの血を吐き続け―俺は虚ろで一杯の何も入らない空洞になる、俺に何かを許容させようなんて思わないでくれ、俺に何かを許容させようなんて思わないでくれよ…
旋律のない音楽、旋律のない音楽、それだけが俺のすべてだった、それだけが…旋律のない音楽のその成立ちこそが―旋律のない音楽の末端で首を吊って揺れている俺、揺れている俺のコード…解析しても不協和音が溢れだしてくるばかり、虚ろで一杯の楽譜を撒き散らしながら涙を流しているソリスト、何も取ることは出来ない、宿命として在るが為の理由を…宿命として在るが為
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