雨にさらされる光のない世界だけが/ホロウ・シカエルボク
 
―求めることに意味なんかない、求めることに意味なんかないんだ、欲しがるふりをしてずっと空っぽの手のひらを見ていた…本当の痛みは感覚とは無縁のところにあるんだ
なすすべなく濡れていく古い路地裏、安っぽい石畳がまるで喪失のように色を変えていく、そのさまを飽きることもなくずっと眺めていた、なぜなら俺も、なぜなら俺も…あれはいつのころの記憶だろう、どんな記憶もリアルなものなんかじゃない、どんな記憶もリアルに色づいたりなんかしない、俺のいるこの世界はいつだって浅い眠りの中の束の間の夢のようだったよ?故障だ、故障だ、すべては故障してしまった―すべては故障をし続けている、連続するものにだけ宿命がある―雨に濡れ
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