彼が君ではない/里欣
彼が君ではない
李欣欣
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誕生日前の二日、江とドアを修理していた。なかなか開かないドアだ。わたしの家のドアか、彼の家のドアに近い。長春映画撮影場の職員マンション。満州の古臭い歴史と無関係な、とにかく地味なドア。「ペンキも使うの?」わたしが聞く。ドアがやっと開けられた。と同時にはずれた。今度二人で取り付けようとしたが、いつの間にか別の部屋でキスした。舌の先を彼の口に入れた。磁石のように力強く絡まる。押しのける。外に誰かがのぞみこんでいる。本を読むふりをした。いつもの撮影場玄関隣の映画館。監督の父親が脚本家の母親の肩に手をかけ
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