ひかりの海/ホロウ・シカエルボク
 
ときみは答える、ひかりの海なんかほんとうはないじゃない、あなたはもうすこし目を開かなくちゃいけないわ
ぼくには目を開く必要なんかない、とぼくは答える、ぼくにはそれが見えている、それをないものにする理由などひとつもない「きみに、それを諭すような権利だってないはずだ」
そうだね、ときみは言う、そして、ひかりの海のまんなかで目を閉じる「あなたは信じたのかしら」「なにを?」「わたしを、この世界を」
ぼくも目を閉じる、ぼくのからだの中に、ひかりの海のしぶきが満ちる、彼女に言わせれば、「ほんとうにはない」そのひかりが
「信じるってことは存在するってことだよ」とぼくは言う
きみはくすくす笑う
「いま
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