黒色鳳/セルフレーム
っているの。とても綺麗」
奥様は席を立たれ、黒色の鳳に近付きになられました。
鳳は静かに奥様の左胸に顔を寄せ、瞳を閉じておりました。
帝には、その鳳に見覚えがあったらしく、ずっと見つめておられました。
左胸に顔を寄せていた鳳が、帝の所まで歩み寄った時に、帝は思い出されたのでしょう。
真っ青な顔をして、震えながら謝られておられました。
鳳は、肌と髪の黒い、夜桜が描かれた着物を着た、美しい女性になられました。
そして凛とした声で、帝に言いました。
「わたくしはね、知らなかったのですよ?
貴方様が・・・主が、お嫁様をお取りになった事を。主は知らないのね。人形は、木造
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