黒色鳳/セルフレーム
帝は奥様をお迎えになられました。
美しい、黒い髪の。
十二単を纏い、真っ白いお顔を私達に向けてね、笑うのです。
それがとてもとてもお綺麗でした。
その次の年の春から、桜が咲くと帝は奥様を連れて、花見へ行くようになりました。
花見といっても、庭の桜の木を縁側で眺めるだけの。
でもまるで遠い桜の名所へ行ってきたかのように話すのです。
私共に笑顔を振りまいて。
奥様が帝の所に来てから七年もの年月が過ぎました。
その年の花見の日、桜が何時にも増して美しく、家来共も呼ばれて花見をしました。
楽しい宴の中で、奥様が異変に気付かれました。
「桜の木の下に、美しい黒色の鳳が座って
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)