ナベくんへのながい返事/かんな
た。
心配した担任が電話をよこし、
心配した友達が家まできて、
心配した親が病院に連れて行った。
世界が私への心配で回っているようでいて、
気持ちが悪かったんだ。
ナベくんは何をしてるだろう、
そんなことも考えなかった。
私は部屋にいて、夏か冬かもわからないほど
閉め切ったカーテンを開けることをしなかったし、
昼か夜かもわからないほど、寝ては起き、
何かをつまんで食べてはまた眠り、
時たまパソコンを開いてはネットをし、
ただ呆然と、生きる意味などあるんだろうか、
などとありきたりなことを考え、
ナベくんのことを忘れていたんだ。
それから約半年
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