ナベくんへのながい返事/かんな
半年。そんな気がする。
ある日、父が突然部屋に入ってきて私に声をかけた。
そうして、なんか届いたぞ、と私の方に放り投げた。
手にとって見ると、
透明な封筒にパズルのピースが入っているようだった。
父は不審がっていたけれど、
私は何のためらいもなく封をあけ、
パズルのピースをひとつひとつはめていった。
「かんちゃんはさぁ」
声が聴こえたような気がしたんだ。
まだ私は覚えていたみたいだった、ナベくんのこと。
数分後に出来上がったのは、
山田かまちの「プリーズ・ミスターポストマン」の絵だった。
展示会、見にいってたんだね。
小さなパズルを裏がえ
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