ナベくんへのながい返事/かんな
 
out speaking
People hearing without listening
}
そんな言葉のないやりとりや、
あいづちだけのやりとりなんて、
私とナベくんにはなかった気がするんだ。

「じゃ」

八時半になった。
ホームルームが始まる少し前になると
気づいたように去っていった。
ナベくんは去っていったね。
そんな後ろ姿を見送りながら、
私はほんの少しのさびしさにとらわれたみたいだった。



それからしばらくしてからだったと思うんだ。

私は生物準備室にいくこともなくなり、
保健室に行くこともなくなり、
授業など教科書ごと放り投げていた。
[次のページ]
戻る   Point(15)