ナベくんへのながい返事/かんな
out speaking
People hearing without listening
}
そんな言葉のないやりとりや、
あいづちだけのやりとりなんて、
私とナベくんにはなかった気がするんだ。
「じゃ」
八時半になった。
ホームルームが始まる少し前になると
気づいたように去っていった。
ナベくんは去っていったね。
そんな後ろ姿を見送りながら、
私はほんの少しのさびしさにとらわれたみたいだった。
それからしばらくしてからだったと思うんだ。
私は生物準備室にいくこともなくなり、
保健室に行くこともなくなり、
授業など教科書ごと放り投げていた。
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