ナベくんへのながい返事/かんな
ったんだろうね」
その前後はあんまり頭に入っていなくて、
その一言だけが保健室に響いたように聴こえた。
なんで希望が残ったんだろうね。
パンドラの箱が何なのかもよくわからない私に聴く、
ナベくんの顔は真剣だったね。
「かんちゃんはさぁ、どう思う?」
あの時の私も、
真剣に希望が残った理由について考えていた。
秋だったんだろうか、
風に飛ばされた葉っぱが窓について離れないのが目について、
午後の五限目、倫理の授業。
私とナベくんが保健室に居残った、
そんな理由はなんだろうとふと思ったりもした。
「一番残ってはいけないものだったからだよ」
私とナベくん
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