ブロッコリーをなげつけろ/詩集ただよう
 
ある。
「よいしょおー。」
お祖母さまがジャンプした。

撒けぬ。その後、奥の暖簾から颯爽と現れた若者は店内中央で立ち止まり、スーパーヒーローを模した背筋に両腕で辺りをしばし静観し、ひれ伏し併発中の主人を見付けるや、奇っ怪な口調で唾を散らした。生来かような想定はしていない私ではあるけれど、渦中の若者の判断力は鈍っていると見抜いた類稀なる洞察力にて、一般客よろしく見知らぬ顔できめたまま、よもや口笛という愚行。所詮見付かる。それから三百ミーターは走っている。息はもうきれ切れです。

お祖母さまの部屋へ招待された。お祖母さまと繋いでいた手を離し、私がブロッコリーを花瓶に挿している間、
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