ブロッコリーをなげつけろ/詩集ただよう
 
間、お祖母さまは白く整ったベッドで運動を終えたばかりの半身を温め、遠い目をカーテンの外へ開け放っておられた。そして、何かを思い出すように私に聞かせて下さった。原文のままに記載する。

「(部屋から見える木を指差して)そのくらいやね。凄かったよ。追い越しとったもん。うちが初めて運転した夜よ。あんた知っとる。うちはお父んから聞いててんけど、やっぱり死ぬーて出た。そらあ。あんた。直立不動やん。びーん立っとんやから。根元に。砂がぽろぽろぽろぽろ落ちとってね。根っこが前てね。おかし。真っ赤っかなぼろ布をばたばたばたーてなびかせてね。軍人さんみたいな身体つきで、ばちーん立っとんて、腕組んで。おっきな木や
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