クロコダイルの夢/皆月 零胤
にはある秘密があった
僕たちと同じ姿をしていてるけど
祖先はサルではなくてクロコダイルらしい
実家は月の裏側の地球から見えない場所で
ある理由から還れなくなってしまったそうだ
ある日おにいさんといつもみたいに話をしていると
区役所の人が来て秘密基地を壊しはじめた
僕は泣きながらやめてって叫んだけど
おにいさんは月に還るから大丈夫だと言う
そして書きかけの小説が書いてあるノートを
僕にそっと手渡してくれ その手には
確かに薄く残ったウロコの痕みたいなのがあった
僕はいつか小説家になって小説の続きを書くと
固く約束しておにいさんと引き離された
あとになって知った
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