名もない花/星月冬灯
さあ、その種を持って裏庭に行きなさい。
そして、全部埋めるのよ。
マーサの頭を優しく撫でながら、アリサは
言った。
その不思議な種を持って裏庭へ行くと、
夜空で踊るように散っていた星々はなかった。
真っ暗な中にマーサの持っている塊だけが
神々しいまでの光りを放っていた。
その光りを頼りにシャベルで土を掘ると、沢
山の種をばら蒔いた。優しく土を盛ると、そ
の中から光りがこもれ出た。
マーサは、シャベルを持ったまま立ち竦んだ。
この花はいったいどこに咲いているのか。
ママはどうして
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