薔薇/AKiHiCo
鋏を手に取り向かった
陽の粒が刃先で鋭く光った
これで茎を切るようにあの人の首を
溢れ出る鮮血は薔薇のように赤く
床に散らばれば僕だけの人に為るはず
茎を切り揃えながら
そんな事をぼんやりと考えていた
その頃から何となく気付いていたんだ
内側から愛されていないと
記憶の一頁
紅茶を啜りながら夜空を見上げていた
偽りの関係を続けていても幸せなのだろうか
やめてしまえば僕の前からあの人は消えて
僕は独りになってしまう
嘘でもいいから傍に居たいと
願っても怒らないで下さい、____
あの人の気持ちが嘘でも僕が本物なら
本物の気持ちならいつかきっと
溜息を舌の上
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